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Vol.12 2012年11月
『水質汚濁防止法の改正について』


(1) 水質汚濁法改正の背景

 水質汚濁防止法(以下「水濁法」)は環境省所管の法で、1970年(昭和45年)12 月に制定されました。工場・事業場から公共用水域に排出される汚水と地下に浸透する汚水等を規制することや、生活排水対策の実施等によって公共用水域や地下水の水質の汚濁の防止を図ることで、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的として制定されています。工場・事業場から排出される汚水や廃液で人の健康に係る被害が生じた場合には事業者が損害賠償責任を負い、さらに地下水汚染が生じた際には知事が汚染原因者に浄化を命ずることによって被害者の保護を図っています。

 しかし、昨今の環境省による調査結果では、工場・事業場周辺の井戸水から有害物質が検出され、工場・事業場が原因と推定される汚染事例は毎年継続的に報告されています(表1)。それらの汚染原因の大半は工場等における生産設備・貯蔵設備等の老朽化や、生産設備等使用の際の作業ミス等による漏えいであることが指摘されています。地下水は一度汚染されると地下における水の移動経路が複雑なため原因者の特定が難しく、また自然による水質浄化作用が期待できないことから回復が困難です。

 従来の水濁法では、人の健康及び生活環境に対し、被害を及ぼすおそれのある物質を含んだ汚水を排出する施設(特定施設)を設置している工場・事業場を「特定事業場」と、特定事業場のうち有害物質を使用する特定施設を「有害物質使用特定施設」といい、都道府県知事等への届出が義務付けられていました。
 しかし、環境省による調査では、特定施設以外の施設からの地下水汚染の事例も約3割に達することが報告されています。
 これらの背景から、地下水汚染の未然防止という観点から特定施設から公共用水域に排出された汚水による汚染のみならず、貯蔵施設や、雨水・冷却水を公共下水道へ放流している施設の配管等から汚水が直接地下へ浸透することを防ぐことが求められています。そこで、次に示すように水濁法の一部改正に関する法律が2011年6月14日に成立、2011年6月22日に公布され、2012年6月1日に施行されました。 

表1 工場・事業場が原因と推定される地下水汚染事例数の推移
表1 工場・事業場が原因と推定される地下水汚染事例数の推移
出展:環境省「水質汚濁防止法の改正による地下水汚染の未然防止対策について」平成24年 より抜粋


(2)改正の概要

 今回の改正においては、1)対象施設の拡大、2)構造等に関する基準遵守義務、3)定期点検の実施及び3年間の記録保存の義務化の規定が新たに設けられました。

1) 対象施設の拡大
 今回の改正により、届出の対象となる施設の範囲が拡大されました。従来から届出の対象となっている施設も含め、平成24年6月1日以降、以下の施設を設置する場合には、都道府県知事等に対し事前の届出が必要となります。

◇有害物質使用特定施設
 (公共用水域に水を排出する施設)※従来より届出対象)
 水質汚濁防止法施行令第1条に規定される特定施設のうち、有害物質の製造、使用、処理を行う施設が該当します。今回の改正以前から、公共用水域に水を排出する施設として水質汚濁防止法(水濁法)に基づく届出の対象となっている施設であり、水濁法第5条第1項に基づく届出が必要です。

◇有害物質使用特定施設
 (公共用水域に水を排出しない施設)※改正による届出対象施設の拡大
 水質汚濁防止法施行令第1条に規定される特定施設のうち、有害物質の製造、使用、処理を行う施設が該当しますが、雨水を含め排水の全量を、下水道や水質汚濁防止法施行令別表第1第74号に定める施設(共同処理施設)に排出する施設などが新たに届出対象に該当します。

◇有害物質貯蔵指定施設 ※改正による届出対象施設の拡大
 有害物質を含む水を貯蔵する施設が該当します。なお、有害物質貯蔵指定施設について、法令では、「指定施設(有害物質を貯蔵するものに限る。)であって当該指定施設から有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがあるものとして政令で定めるもの」と定義されており、「政令で定めるもの」については、改正後の水質汚濁防止法において、「第2条に規定する物質(=有害物質)を含む液状の物を貯蔵する指定施設」と定義されています。
 有害物質を含む気体・固体を貯蔵している施設や、不純物として有害物質を含む液体(ガソリン等)を貯蔵している施設、また常時固定されていないようなドラム缶、一斗缶等については対象外とされています。

図1 水濁法改正により新たに届け出が必要となった施設
図1 水濁法改正により新たに届け出が必要となった施設

2)構造等に関する基準遵守義務
 有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の設置者は、施設本体・施設の床面及び周囲・施設に付帯する配管・排水溝等の構造に関する基準を遵守しなければならないことになりました(図2)。新設・変更の際はそれぞれの新設、変更時に、既設の場合は3年間(平成27年5月31日まで)の猶予期間内に対策を実施しなければなりません。

図2 構造等に関して基準の設けられた対象の一例
図2 構造等に関して基準の設けられた対象の一例

3)定期点検の実施、3年間の記録保存の義務化
 有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の設置者は、次の構造基準の措置に応じて施設本体・施設の床面及び周囲・施設に付帯する配管・排水溝等に関するそれぞれの箇所の構造、設備、使用の方法等について定期に点検、その結果を記録し、3年間保存することが義務づけられました(図3)。

図3 構造等に関する基準遵守及び定期点検報告の対象範囲
図3 構造等に関する基準遵守及び定期点検報告の対象範囲


A. 新設の施設を対象とした措置(A基準)
 新設の施設を対象とした構造等の基準とそれに応じた点検の組み合わせを定めています。

B. 既設の施設を対象とした措置(B基準)
 既設の施設に対する構造等の基準がA基準より緩和される分、点検頻度を高める、漏えい検知方法をA基準より充実させる等により、構造と点検の組み合わせでA基準と同等の未然防止水準を維持します。

C. 既設の施設の猶予期間中の措置(C基準)
 既存の施設については、平成27年5月31日まで3年間の猶予期間があります。猶予期間といえども有害物質漏えいの未然防止に努めるよう、定期点検をB基準よりも頻度を高めるなどより充実したものを実施します。



 図4に、改正後の水濁法に届出に関するフローチャートを示します。水濁法改正に対応したソリューション、また土壌・地下水汚染をはじめ環境関連の問題につきましては、是非アースアプレイザルにご相談ください。

図4 改正後の水濁法届出に関するフローチャート
図4 改正後の水濁法届出に関するフローチャート


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発行  株式会社アースアプレイザル



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