Vol.5 2012年4月
『目的に応じたアスベスト調査について』
はじめに
アスベストの危険性が社会的な問題になって以来、建物解体時のアスベスト撤去はもちろんのこと、不動産売買、日常の建物管理、資産除去債務等においてもアスベスト調査は欠かせないものとなってきています。
しかし、目的に応じた調査が実施できなければ、再調査が必要になり、不動産売買契約、不動産賃貸借契約のトラブルや締結の遅れ、さらに建物解体費用の増加等、余分な時間、コストが生じる可能性があります。
アースアプレイザル(EA)では、年間約200棟を超えるアスベスト調査・管理・対策の実績から、お客様の目的や予算等に応じたアスベスト調査を提案し、アスベスト管理・対策に関する最適なソリューションをご提供致します。
目的に応じたアスベスト調査
建物解体を調査契機とするアスベスト調査は、レベル1建材から、レベル2建材、レベル3建材
(※1)までの使用範囲を把握することで、各種法令(※2)に従った適切な対応(例えば、レベル1建材の除去は隔離養生を使用する等)が可能となります。
また、建物管理を調査契機とするアスベスト調査は、レベル1〜3建材までの各建材の劣化・損傷の状況、使用されている部屋の利用頻度等を把握し、アスベスト繊維の飛散・曝露リスクを判定することで、建物の安全衛生に資する管理表の作成が可能となります。
さらに、空気環境測定を実施し、実際にアスベスト状繊維が空気中に浮遊しているかについて確認することもあります。
建物売買を調査契機とするアスベスト調査は、劣化・損傷の著しいレベル2〜3建材を除き、レベル1建材の劣化等の状況、使用されている部屋の利用頻度等を把握することで、アスベスト繊維の飛散・曝露リスクを判定し、対策の必要性の有無等を判断することが可能となります。
表1に目的別に想定される代表的なアスベストの調査内容を示します。
表1 アスベスト調査内容の種類 |
調査契機 |
調査内容 |
解体・改修 |
A. アスベスト含有建材の有無 |
B. アスベスト含有建材の使用範囲 |
C. アスベスト撤去・処理費用 |
建物管理 |
A. アスベスト含有建材の有無 |
B. アスベスト含有建材の使用範囲 |
C. アスベスト撤去・処理費用 |
D. アスベスト繊維の飛散・曝露の可能性 |
建物売買 |
A. アスベスト含有建材の有無 |
B. アスベスト含有建材の使用範囲 |
C. アスベスト撤去・処理費用 |
D. アスベスト繊維の飛散・曝露の可能性 |
資産除去債務 |
C. アスベスト撤去・処理費用 |
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A.アスベスト含有建材の有無
・図面及び現地目視調査により、アスベストを含有する可能性のある建材を選別します。
また、必要に応じ建材の採取と分析を実施し、アスベスト含有建材を特定します。
B.アスベスト含有建材の使用範囲
・上記Aの結果から、アスベスト含有建材の大まかな使用範囲を把握し、
概算面積を算出します。
C.アスベスト撤去・処理費用
・上記Bの結果から、アスベスト撤去費用や処理費用の概算費用を算出します。
D.アスベスト繊維の飛散・曝露の可能性
・図面及び現地目視調査により、アスベスト含有建材の劣化・損傷を確認し、
飛散・曝露リスクの判定を行います。
・必要に応じて空気中にアスベスト状繊維が飛散していないか測定を実施します。
EAでは、目的に応じて、必要な調査項目(図面等調査、現地目視調査、建材採取・分析、空気環境測定、飛散・曝露のリスク判定、撤去処理費用の算出等)を組み合わせ、適切な調査を実施致します。
(※1)参考1及び参考2「目でみるアスベスト建材(第2版):国土交通省」
(平成20年5月)をご確認ください。
(※2)労働安全衛生法/石綿傷害予防規則、大気汚染防止法、
廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建設工事に係る資材の再資源化等に
関する法律および関連条例
過去のアスベスト調査における注意事項
アスベストに関しては、過去、段階的に法令等で規制・指導がなされているため、調査当時の規制の内容によっては、再調査及び分析を必要とする場合があります。
@労働安全衛生法施行令:2006年9月
→アスベスト含有率1%基準で分析し不検出となった建材についても、
0.1%基準での再分析が必要となる場合があります。
A厚生労働省通達:2008年2月
→日本では建材中にはクリソタイル、クロシドライト、アモサイトの3種類以外
使用されていないとされ、過去この3種類のみを規制等の対象としていました。
その後、3種類以外のトレモライト等のアスベスト検出事例が報告され、
2008年2月に全6種類を分析対象とするよう通達が出されました。
アスベスト調査実施後の対策について
アスベスト含有建材の使用が確認された場合、必要に応じて対策の検討が重要となります。
特に吹付け材が使用されていた場合、除去・封じ込め・囲い込みの対策が通常、検討されます。
しかし、稼働中の施設の場合、テナントの移転費用がかかる等、即座に対策できない場合も多く見られます。
即座に除去等の対策を実施できない場合、建物等の継続利用を前提とした日常管理プランを策定・運用することで、最もコストパフォーマンスの高い対策時期の選択が可能となります。
参考1 石綿障害予防規則におけるアスベスト含有建材の区分及び種類 |
石綿障害 予防規則 区分 |
石綿等が使用されている建築物の解体等の作業、封じ込め・囲い込みの作業における作業レベルの分類 |
種類(施工部位) |
吹付け材 |
<レベル1>発じん性が著しく高い作業 切断、穿孔、研磨等の作業を伴う場合は作業場所の隔離が必要 |
吹付け材 |
保温材・ 耐火被覆材・ 断熱材 |
<レベル2>発じん性が高い作業 切断、穿孔、研磨等の作業を伴う場合は作業場所の隔離が必要 |
保温材 耐火被覆材 断熱材 |
その他 アスベスト 含有建材 (成形板等) |
<レベル3>発じん性が比較的低い作業 作業場所は関係者以外立入禁止とし、破砕を避け湿潤した状態での作業が必要 |
内装材(壁、天井) 耐火間仕切り 床材 外装材(外壁、軒天) 屋根材 煙突材 設備配管 建築壁部材 |
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・「目でみるアスベスト建材(第2版):国土交通省」(平成20年5月)より抜粋、加筆
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参考2 主なアスベスト含有建材の写真 |
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写真 吹付け材(レベル1) |
写真 耐火被覆材(レベル2) |
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写真 保温材(レベル2) |
写真 成形板(レベル3) |
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・「目でみるアスベスト建材(第2版):国土交通省」(平成20年5月)より抜粋、加筆
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